寝る前の読書習慣をお持ちの方、あるいはこれから始めようと考えている方は多いのではないでしょうか。しかし、「寝る前に本を読むのは良くないと聞いたことがある」「目が疲れそう」といった不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
実は、寝る前の読書には睡眠や日常生活にさまざまな影響を与えます。この記事では、寝る前の読書が持つメリットとデメリット、効果的な読書方法を解説します。
正しい方法で読書を楽しむことで、質の高い睡眠と充実した読書習慣を手に入れましょう。
寝る前の読書はよくない?デメリットを解説
寝る前の読書には、いくつかの注意すべき点がありますが、適切な方法で読書することで解決できる問題です。寝る前の読書における主なデメリットについて解説します。
目が疲れる
寝る前の読書で最も懸念されるのが、目への負担です。夜間の薄暗い環境での読書は、目に余分な負担をかけることがあります。特に、一日中デジタル機器を使用した後の読書は、すでに疲労している目にさらなるストレスを与えかねません。
暗い場所での読書は、無意識のうちに目を細めたり、本に顔を近づけたりする傾向があります。体に負担のかかる姿勢は、目の疲労を加速させる原因です。
目の疲労を防ぐには、適切な照明を整えることが重要です。
本の文字がはっきりと見える程度の明るさを確保しつつ、直接目に光が入らないよう工夫することで、快適な読書環境を作れます。
寝つきが悪くなる
物語に夢中になりすぎると、体は休む準備をしているのに、脳が活性化してしまうことがあります。特にミステリーやスリラーなど、ストーリー展開が気になる本を読むと、「あと一章だけ」と読み進めてしまい、予定していた就寝時間を大幅に超えてしまうケースも少なくありません。
脳が活性化された状態で布団に入ると、せっかく横になっても寝つきが悪くなってしまいます。読書によって分泌された覚醒ホルモンの影響で、体のリラックス状態が妨げられているためです。
寝つきの問題を防ぐには、就寝時間の1時間前には刺激的な内容の読書を避け、よりリラックスできる穏やかな内容の本を選びましょう。
睡眠時間が減って寝不足の原因になる
読書に没頭してしまうと、気づけば深夜になっているという経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。特に展開が気になる物語や、内容の濃い専門書などを読んでいると、時間感覚が失われやすくなります。
本来7-8時間確保すべき睡眠時間が、読書によって削られてしまうと、日中のパフォーマンスに影響が出る可能性があります。睡眠不足が続くと、集中力の低下や記憶力の減退、免疫力の低下などを引き起こす恐れもあります。
健康的な読書習慣を維持するためには、就寝時刻を決めて、そこから逆算して読書時間を設定することが重要です。
例えば、23時に就寝する場合は、22時には読書を終えるというように、読書時間をあらかじめ決めておくことをおすすめします。
寝た姿勢で読書をすると体に負担がかかる
横たわったままの姿勢で読書をすると、首や肩に過度な負担がかかります。特に枕に頭をのせたまま本を持ち上げる姿勢は、首の筋肉を緊張させ続けることになり、首こりや肩こりの原因となることがあります。
辛い姿勢を長時間続けることで、本を支える腕や手首にも負担がかかります。特に重い本や大判の本を読む場合は、その影響が顕著に表れやすいでしょう。
姿勢による身体への負担を軽減するには、体に負担がかかりにくい姿勢を保つ工夫が必要です。
背もたれのある椅子に座って読書をするか、ベッドで読む場合は背もたれクッションを使用しましょう。
効果あり!寝る前に読書をするメリット
寝る前の読書にはデメリットばかりではありません。適切な方法で行うことで、睡眠の質を向上させたり、心身の健康に良い影響をもたらしたりする可能性があります。
寝る前の読書がもたらす様々なメリットを解説します。
睡眠の質が向上する
適切な読書は、良質な睡眠に効果的です。読書によって心身がリラックスすることで、自然な眠気を誘うことができます。デジタル機器から発せられるブルーライトとは異なり、紙の本を読むことは体内時計を乱す心配が少なく、おすすめの寝る前の過ごし方です。
寝る前の穏やかな読書は、副交感神経を優位にする効果があるとされています。心拍数が落ち着き、体がリラクゼーション状態に入りやすくなります。
リラックスするには、刺激的な内容を避け、心が落ち着ける本を選ぶことが重要です。就寝前に読書をすることで、自然な眠気を促しましょう。
ストレスが軽減してリラックスできる
読書には日常のストレスを軽減し、心を落ち着かせるときに効果的です。仕事や学業での緊張や不安を抱えたまま就寝しようとしても、なかなか心が休まらないときがあります。しかし、読書に集中することで、現実の悩みから一時的に距離を置くことができます。
特に物語を読むことは、別世界に没入することで現実のストレスから解放されやすく、精神的なリフレッシュ効果が期待できます。
リラックス効果を最大限に引き出すには、心地よい読書環境を整えることが大切です。
適度な明るさの照明や快適な室温設定、柔らかな座り心地の椅子など、細かな工夫で質の高いリラックスタイムを作りましょう。
寝る前は記憶が定着しやすい
睡眠前の時間帯は、新しい情報を記憶に定着させるのに適したタイミングです。睡眠中に脳が日中に得た情報を整理し、記憶として固定化するプロセスが活発に行われるためです。
就寝前の読書で得た知識は、睡眠中に脳内で再処理され、より強固な記憶として保存されやすくなります。特に印象的な場面や重要な情報は、睡眠を通じてより鮮明に記憶に残ることが期待できます。
記憶の定着を促進するためには、理解しやすい内容の本を選び、焦らずじっくりと読み進めることが重要です。難しすぎる内容に挑戦すると、かえってストレスになり、良質な睡眠の妨げとなる可能性があります。
読書週間が身につきやすい
夜の時間帯は、一日の忙しさから解放され、静かに本と向き合える貴重な時間です。寝る前の時間を活用することで、継続的な読書習慣を築きやすくなります。
日中は仕事や家事に追われて読書の時間が取れない方でも、就寝前の30分程度を読書に充てることで、着実に読書量を積み重ねることが可能です。
寝る前の読書を習慣化することで、自然な就寝準備の一部となり、規則正しい生活リズムの確立にも役立ちます。毎日同じ時間に読書を始めることで、体内時計が整い、より良質な睡眠を得られるようになります。
習慣を無理なく続けるためのポイントは、自分の生活リズムに合わせて無理のない読書時間を設定することです。
最初は10分程度から始めて、徐々に時間を延ばしていきましょう。
寝る前に読書をするときの注意点
快適な読書習慣を維持し、良質な睡眠を確保するには、いくつかの重要な注意点があります。以下では、寝る前の読書を効果的に行うポイントを解説します。
電子書籍は避けて紙の本を読む
寝る前の読書では、電子書籍よりも紙の本を選ぶようにしましょう。電子機器から発せられるブルーライトは、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制し、体内時計のリズムを乱す原因となります。電子書籍は寝つきが悪くなったり、睡眠の質が低下したりする可能性があります。
一方、紙の本には以下のような利点があります。
- 目への負担が少ない
- 自然な眠気を妨げない
- ページをめくる感覚が心地よい
- 集中力を保ちやすい
上記の特徴から、睡眠前の読書には従来の紙の本が最適といえます。
電子書籍を使用する場合は、ブルーライトカットフィルターを使用するなどの対策をして使用しましょう。
刺激の強いジャンルや内容は避ける
寝る前の読書では、内容の選択も重要です。刺激の強い内容は脳を過度に活性化させ、睡眠の質を低下させてしまう可能性があります。ホラーやサスペンス、過度に興奮を誘うような内容は避けましょう。
代わりに、心を落ち着かせるような穏やかな内容の本を選ぶことで、より良い睡眠への準備ができます。エッセイや詩集、ゆったりとした展開のファンタジーなどが良いでしょう。
部屋の照明を調整する
適切な照明は、快適な読書と良質な睡眠の両立に欠かせない要素です。明るすぎる光は脳を刺激し、睡眠を妨げる原因となります。一方で、暗すぎる環境での読書は目の疲労を招きかねません。
理想的な環境を作るためのポイントは以下のとおりです。
- 間接照明を活用して柔らかな明かりを確保する
- 本に影ができにくい位置に光源を設置する
- 就寝30分前には徐々に明るさを落としていく
- 直接目に光が入らないよう光源の位置を工夫する
工夫により目への負担を最小限に抑えながら、快適な読書環境を維持できます。徐々に明るさを落としていくことで、自然な眠気を促せます。
体の負担にならないリラックスした姿勢で読む
読書姿勢は、快適な読書タイムと良質な睡眠の両方に大きく影響します。正しい姿勢を保つことで、身体への負担を軽減し、より長時間集中して読書を楽しむことが可能です。理想的な読書姿勢のポイントは以下のとおりです。
- 背筋を自然に伸ばせる椅子を使用する
- 目と本の距離を30-40cm程度保つ
- 本を45度程度の角度で保持する
- 定期的に姿勢を変える
特に寝る前の読書では、ベッドに横たわったままの姿勢は避けることをおすすめします。寝た姿勢での読書は首や肩に過度な負担をかけ、筋肉の疲労や痛みの原因となる可能性があります。
背もたれのある椅子に座るか、ベッドで読む場合は背もたれクッションを使用して上半身を起こした状態を保ちましょう。
読書の時間を決めておく
良質な睡眠を確保するには、読書時間の管理も重要です。どんなに面白い本でも、深夜まで読み続けることは避けるべきです。事前に読書の開始時間と終了時間を決めておくことで、睡眠時間を確保しながら継続的な読書習慣を築くことができます。
読書タイム設定のおすすめポイントは、以下のような内容があげられます。
- 就寝90分前までに読書を開始する
- 1回の読書時間は30-60分程度を目安にする
- アラームなどで終了時間を知らせる工夫をする
- 章の区切りなどを意識して終了時間を設定する
時間管理をすることで、読書による睡眠への悪影響を防ぎつつ、充実した読書タイムを確保できます。
リラックスできる環境を整える
快適な読書のためには、物理的な環境づくりも欠かせません。リラックスできる空間を作ることで、読書に集中しやすく、良質な睡眠にもつながります。
理想的な読書環境を整えるためのポイントは以下のとおりです。
- 適度な室温(20-25度)を維持する
- 適度な湿度(40-60%)を保つ
- 雑音を遮断し、静かな環境を確保する
- 心地よい香りを活用する(アロマなど)
- 快適な座り心地の椅子やソファを用意する
快適な環境づくりにより、より深い読書タイムになり、自然な眠気を促せます。快適な環境作りが習慣化することで、部屋に入るだけでリラックスモードに切り替わりやすくなる利点もあります。
寝る前の読書におすすめのジャンル
寝る前の読書では、内容の選択が特に重要です。心地よい睡眠につながる本選びのポイントと、おすすめのジャンルを推薦図書とともに解説します。
エッセイなどのヒーリング系
寝る前の読書に最適なのが、心を穏やかにしてくれるエッセイです。日常の小さな発見や心温まる出来事を描いたエッセイは、読む人の心を優しく包み込み、疲れを癒してくれます。
特に、自然や季節の移ろい、日々の暮らしの中での気づきを綴ったエッセイは、忙しない日常から一歩離れて、ゆっくりと心を休ませるのに適した本です。穏やかな文体で書かれた作品を選ぶことで、より深いリラックス効果が期待できます。
ファンタジー
ファンタジー作品も、寝る前の読書におすすめのジャンルです。ただし、選び方には注意が必要です。激しい戦闘シーンや複雑な展開が続くものは避け、優しい世界観や穏やかなストーリー展開の作品を選びましょう。
童話的な要素を含むファンタジーや、日常に小さな魔法が織り込まれているような作品は、現実の悩みから適度な距離を取りながら、想像力を優しく刺激してくれます。
現実から離れることで、心地よい気分で眠りにつきましょう。
短編集
短編小説は、一話完結型の作品が多いため、寝る前の読書に適しています。長編小説と違って、「次が気になって眠れない」といった事態を避けやすく、読む量を自分でコントロールしやすい利点があります。
一つの物語が比較的短時間で完結するため、達成感を得やすいのも特徴です。就寝前のリラックスタイムとして過ごすのに最適な長さと内容を選びやすいでしょう。
詩集
詩集は、寝る前の読書材料として特別な魅力を持っています。短い言葉の中に凝縮された豊かな表現は、想像力を刺激しながらも、過度な脳の活性化を避けられます。
韻を踏んだ詩は、音のリズムによって心を落ち着かせるために効果的です。一篇あたりの長さが短いため、読む量を調整しやすく、時間管理がしやすいという利点もあります。
就寝前の詩集読書では、特に風景や自然を詠んだ作品がおすすめです。激しい感情や重たいテーマを扱った作品は避け、心が穏やかになる詩集を選びましょう。
難しすぎない哲学・自己啓発本
哲学書や自己啓発本も、適切に選べば寝る前の読書に向いています。ただし、あまりに難解な内容や、実践的な行動を強く促すような本は避けるべきです。人生の知恵や心の持ち方について穏やかに語りかけてくるような本を選びましょう。
以下のような特徴を持つ本がおすすめです。
- 日常生活に関連した話題を扱っている
- 平易な言葉で書かれている
- 強い主張や極端な意見を避けている
- 読者の内省を優しく促す内容
1日の出来事を振り返り、明日への準備を整えるのに役立ちます。ただし、あまり考え込みすぎないよう、読む量は適度に調整することが大切です。
寝る前の読書に関するよくある質問
寝る前の読書を始めようとする方に、よくあるる質問について回答します。下記の内容を参考に、より良い読書習慣を確立していたきましょう。
寝る前の読書は何分くらいがいいですか?
寝る前の読書時間は、個人の生活リズムや睡眠習慣によって適切な長さが異なります。しかし、一般的な目安として20-40分程度がおすすめです。時間設定には、以下のような理由があります。
- 読書に没頭するのに十分な長さを確保できる
- 睡眠時間を大きく削ることなく継続できる
- 眼精疲労を防ぐことができる
- 就寝準備の一環として習慣化しやすい
ただし、おすすめの時間はあくまでも目安です。最初は15分程度から始めて、徐々に自分に合った時間を見つけていくことをおすすめします。睡眠の質を維持しながら、無理なく続けられる時間を設定することが重要です。
読書以外に寝る前のおすすめ習慣は?
読書と組み合わせることで、より良質な睡眠が期待できる習慣を紹介します。下記の活動は、心身をリラックスさせ、快適な睡眠環境を整えるのに役立ちます。
- ストレッチや軽いヨガ
- 深呼吸やメディテーション
- アロマセラピー
- ホットミルクを飲む
- 1日の出来事を日記に書く
リラックス習慣は、読書と組み合わせることで相乗効果が期待できます。例えば、軽いストレッチをしてからアロマの香りの中で読書を楽しむといった組み合わせが効果的です。
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寝る前の読書におすすめしないジャンルは?
良質な睡眠を妨げる可能性のある本のジャンルについて、具体的に説明していきます。脳を過度に刺激したり、不安な感情を引き起こしたりする可能性があるため、就寝前は避けましょう。
- ホラー・サスペンス(不安や緊張を引き起こす)
- 過度に刺激的な恋愛小説(感情を高ぶらせる)
- 複雑な学術書(脳を過度に活性化させる)
- ビジネス書(行動を起こしたい衝動に駆られる)
- 政治や社会問題に関する本(考え込みやすい)
就寝前は先ほど紹介したリラックスできるジャンルを選ぶことをおすすめします。
まとめ
寝る前の読書は正しい方法で行うことで、良質な睡眠を促進し、充実した読書習慣を築けます。快適な寝る前の読書を実現するために重要なポイントは、以下のとおりです。
- 紙の本を選び、電子書籍は避ける
- 適切な照明と快適な姿勢を維持する
- 読書時間は20-40分程度を目安にする
- リラックスできる穏やかな内容の本を選ぶ
- 就寝90分前までには読書を始める
注意点を意識することで、読書本来の楽しみを損なうことなく、良質な睡眠との両立ができます。
継続的な読書習慣を築くためには、無理のない範囲から始めることが大切です。最初は短い時間から始めて、徐々に自分に合った読書スタイルを見つけていきましょう。
寝る前の読書は、単なる趣味や娯楽以上の価値があります。一日の終わりを穏やかに過ごし、質の高い睡眠を得るための大切な習慣になります。記事で紹介した方法を参考に、心地よい寝る前の読書タイムを始めてみてみましょう。