出産で疲れた体のまま、一気に変わる産後の生活。新しいことばかりで慣れない育児に戸惑う方も少なくないと思います。
毎日わからないことだらけで大変…
少しでいいから休む時間が欲しい…
助産師として毎日、産後のママたちの悩みを聞いているので、このようなお話は連日多くの方から聞かれます。少しでも産後のストレスを減らし、疲れた体と心をリフレッシュするお手伝いができると嬉しいです。
この記事では、産後のストレスの原因とストレスが原因で起こってしまう体の変化、ストレスを解消する方法を詳しく解説します。
自分には今何が必要なのかがわかり、実際に行動するときのポイントもお伝えします。最後まで読んで、ぜひ参考にしてください。
- 産後のストレスの原因と対処法
- 産後の体と心の変化
- 産後のストレス解消法
- 産後に頼ることができる場所・もの・こと
産後は嬉しいことも大変なことも一気に起こります。ぜひ、楽しい・幸せをたくさん感じられるように毎日のストレスを一緒に減らしていきましょう。
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産後のストレスの原因と対処法
ストレスの原因はさまざまなものがありますが、産後特有の原因もいくつかあります。産後のストレスの原因と気をつけないといけないポイントについて解説します。
ホルモンバランスの変化・身体的な変化
産後はホルモンバランスが大きく変化します。
「赤ちゃんを愛おしく思う」「責任感を持つ」といった良い面もあれば、「ちょっとしたことで涙が出てくる」「すぐにイライラしてしまう」という辛い面も。
このようなメンタルの変化については「知っている」ことが重要です。
自分の気持ちが不安定になっている時に「産後だからしょうがない」と考えられると少し落ち着けることもあります。
しかし、「産後で不安定だから気にしちゃダメなんだ」と思う必要はありません。
気になるものは気になるし、不安になることもある。それを溜め込む必要はないので、周りに相談できる場所を見つける・一人で溜め込まないことが大切です。
出産の影響
出産の方法はいくつかありますが、どのようなお産であっても体に大きなストレスがかかっています。
痛みによるストレス
会陰の傷・帝王切開の傷・後陣痛・授乳による痛み…産後はさまざまな痛みがあります。
「出産の痛みから解放されたと思ったのに、こんなに痛いなんて知らなかった。」よくママたちから聞く言葉の一つです。
痛みで思うように動けないことや、ゆっくり休めないことなどがストレスの原因となってしまいます。
- 医師から痛み止めを処方してもらう
- 円座・クッションを使用したり、授乳の姿勢を工夫したりと痛みを緩和できるグッズを使用する
- 痛みが強いときは無理をしない
「痛みで赤ちゃんのお世話ができない…」と気にやむ必要は全くありません。育児はずっと続きますので、痛みの強い一ときくらい休んでも問題もないので、周りを頼って休んじゃいましょう。
周りの人に何かを言われても気にせずに
痛みの強さは人それぞれです。同じ会陰の傷でも強く出る人もいれば、全くない人もいます。周りの人と比べたり、言われたことを気にして休むことを躊躇ったりしないようにしましょう。
貧血による疲れやすさ
出産ではある程度の出血は誰でもあります。体もある程度の出血には備えていますが、出血が多いと貧血になってしまいます。貧血は疲れやすさに直結します。
立ち上がった時にくらっとする・動悸がする・顔が白い。こんな貧血特有の症状があるときはもちろんですが、「なんとなく疲れやすい」も貧血の症状です。
- 貧血があるときは鉄剤を内服する
- 鉄分・ビタミンの多い食事を取る
- 休息時間を確保する
貧血による疲労感は無理をしてしまうと症状が長引いてしまうので、出産後の早いうちからしっかり対処していきましょう。
睡眠不足
産後ストレスの大きな原因の一つ「睡眠不足」は解消が難しい問題です。しかし、睡眠不足を解消するコツを知っていると大きな助けになります。
赤ちゃんは夜になると起き出しますよね。寝て欲しい時に寝てくれないのが赤ちゃん。その理由は、
赤ちゃんは夜行性だから。
その理由は、「母乳が増えるのが夜間だから」です。赤ちゃんとしては「夜におっぱいをしっかり吸わないと自分のご飯が増えない!」と本能でわかっているので、夜に起きて母乳を欲しがるのです。
母乳メインの子ですと数ヶ月は夜間の授乳が欠かせません。夜に寝られない分、昼間の休息時間の確保など対策が必要です。
夜間の授乳中に睡眠を確保するコツ
- 日中に昼寝をして体を休める
- ミルクと混合の場合は夜間のミルクを多めにする
- 夜間は哺乳瓶を洗わなくてもいいように多めに準備する
- 授乳後のあやすのは他の人に頼る
赤ちゃんが泣く理由はさまざま
授乳後はお腹いっぱい過ぎて苦しくて泣いているときや、腸がぐるぐると消化のために動いて気持ち悪くて泣いていることも。
授乳以外の場合は、他の人に抱っこをしてもらったり・お腹を優しくマッサージしてあげることで落ち着くこともあります。
産後の睡眠不足はしょうがないと言われがちですが、対処できる部分もあります。できることは全て行い、少しでも睡眠時間を確保できるようにしていきましょう。
短時間の睡眠でも質を上げていく
産後の体は夜間の授乳に備えて短時間の睡眠でも体の回復ができるように変化しています。
短時間の睡眠時間で、いかに良質な睡眠が取れるかも大切です。睡眠の質を上げられる工夫をしていきましょう。
睡眠の質を上げるコツ
- 睡眠グッズにこだわる
- 寝やすい環境を整える
- 起きている間のストレスを減らす
詳しくはこちらの記事も併せてご覧ください。
育児への不安
産後はたくさんの不安が出てきます。
育児に関しては初めてのことばかりで、分からないこと・慣れないことがたくさん。経産婦さんでも、前回とは違うことも多くある場合もあります。
不安に感じることは人によって違いますし、赤ちゃんの個性・周りの環境などによっても変わってきます。
不安は尽きませんが、不安の原因を少しでも減らすこと・不安を解消できる環境を作ることが大切です。
- 不安・気になることを相談できる人・場所を見つける
- 自分に寄り添ってもらえる場所を見つける
不安について相談できても、自分とは違う考えや寄り添ってもらえないと悲しくなってしまいますよね。自分に合った相談先というのがとても重要です。
自分が心から信頼できる相談先を見つけておきましょう。
話を聞いてもらうのは夫、ちょっとした相談をする相手はお母さん、困ったときは近所の助産院の助産師さんなどと複数の相談先を見つけておくのもおすすめです。
社会的な孤立・サポート不足
最近では、里帰りをせずに夫と二人で育児を頑張るという方も増えています。実家に里帰りをしても、実母さんは正社員で仕事をしているからあまり手伝ってもらえなかったということも。
また、赤ちゃんのお世話は楽しさもある一方で、会話ができない・家の中に篭りがち・仕事などの社会とのつながりが減るなどのストレスもあります。
育児は一人で抱え込むものではないので、周りの活用できるものは活用していきましょう。
産後のサポート(一例)
- 夫・ご両親をはじめとしたご家族のサポート
- 地域の保健師さん・病院などのサポート
- 家事代行・保育のサポート
- 宅配サービスなどで家事の負担を減らす
サポートは家族だけではありません。ご家庭の状況に合わせて、さまざまなサポートを活用し、手を抜けるところは抜いていきましょう。
ストレスの症状
産後のストレスでは様々な症状が体や心に表れてきます。
ストレスからくる症状の一例
- イライラ
- 疲れ
- 不眠
- 食欲減退
- 集中力低下
- 憂鬱な気分
場合によっては病気につながってしまうこともありますので、診断・治療が必要な場合もあります。
程度は人それぞれなので、自分が辛いと感じている場合は、無理をせずにストレスを減らせるように色々と試してみましょう。
病院にかかる目安は?
- 楽しいことを楽しめているか
- 辛いことがあっても楽しいことを楽しいと感じられる
- ストレスがかかっていても対処方法がわかって行動できている
自分で対処方法が見つけることができ、ストレスを軽減できていると実感できる場合は様子を見ても大丈夫だと思います。
しかし、
- 辛過ぎてどうしたらいいかわからない
- 育児を全く楽しめない
- 自分でやってみたけど不安・わからないことが解決しない
このような場合は、一度専門家に相談することをおすすめします。
相談先は、1箇所だけではないので、自分が安心して相談できるところを見つけることが大切です。
- 出産をした病院の医師・助産師
- 住んでいる地域の助産師・保健師
一度の相談で解決しない場合は、他の場所にも相談してみても大丈夫です。
産後のストレスを解消する方法
産後に感じるストレスはさまざまですが、軽減できるポイント・対策について解説していきましょう。
基本は規則正しい生活です。しかし、赤ちゃん中心の生活となっていると難しい場面もたくさん出てきます。そんな中でもできること・おすすめの方法をお伝えしていきます。
睡眠をしっかりとる・睡眠の質を高める
先ほども「睡眠不足への対処法」でお伝えしましたが、睡眠を十分に摂ることはストレス軽減には重要です。
「まとまった長時間の睡眠」ではなく「質の高い睡眠時間」を確保できるように意識していきましょう。
周りの人に協力してもらう
パートナーや家族と協力し、交代で夜間のお世話をすることで、連続した睡眠時間を確保します。
授乳以外のおむつ替え・あやす・ミルクなどはご家族にしてもらう
母乳のみの人でも、あやす時間は家族の人に頼むだけで休息時間は増やせます。
周りに協力してもらえる人がいない場合は、
- 産後ケアセンターなどで休息をとる
- 育児以外のサポートを他人に依頼する(さまざまな宅配や家事代行サービスの利用など)
家族以外の地域や民間のサポートを上手に活用していきましょう。
昼寝をする
赤ちゃんが寝ている間に一緒に休むことで、夜間の睡眠不足を補います。
昼寝もできるだけお布団に入るなどしっかり休める環境を確保することが大切です。
上の子がいて日中は育児・家事をしないといけない場合などは、なかなか難しいかもしれません。その場合は、合間で短い時間横になるだけでも行わないより良いです。
1日の中で休める時間が全くないか、一度時間の使い方を確認してみましょう。
例えば、
- SNSを見ている時間
- あまり考えずに見ているテレビの時間
- 時短家電で減らすことができる家事の時間
一度見直してみると、意外と空けることができる時間があるかもしれません。
夜更かしを減らす・夜間の授乳中の過ごし方に注意
夜遅くまで起きていると、質の良い睡眠が取れなくなります。
夜間の授乳中の過ごし方に注意
授乳で夜間に起きることはありますが、その際にスマホを触って頭を完全に覚醒させてしまうと、その後の睡眠の質を低下させてしまう原因にもなります。
夜間の授乳などで起きた時の過ごし方に気をつけて、その後の睡眠の質を下げないように注意しましょう。
夜間の授乳で起きた時の過ごし方
- 夜間はスマホやパソコンなどの画面を見ない
- できるだけ部屋を暗くして夜の環境を保つ
- コーヒーや紅茶などのカフェインは取らない
- 静かな音楽を流す
- オーディオブックなど音声で楽しむ
カフェインは睡眠の質を下げてしまうので、ホットミルクやルイボスティーなどがおすすめです。
夜間の授乳でお腹がすいた場合は、消化のしやすいものを少量取るようにしましょう。消化に時間がかかるお菓子ばかりとっていると睡眠の質を下げるだけでなく、肥満や生活習慣病の原因にもなりので注意が必要です。
栄養バランスの良い食事をとる
野菜や果物を積極的に食べる
ビタミンやミネラルを多く含む食品を積極的に取り入れることで、体の回復を助けます。
タンパク質をしっかり摂取する
肉、魚、豆製品など、タンパク質を豊富に含む食品をバランスよく食べることで、体力の維持・回復に役立ちます。
水分補給を意識する
十分な水分補給は、体調を整える上で欠かせません。特に授乳中の場合は、母乳でたくさんの水分が赤ちゃんに渡っています。授乳中は1日に1.5〜2L程度、こまめに水分を取るようにしましょう。
適度な運動をする
体を動かすことはストレス解消にもなりますし、体調を整えるためにも大切です。赤ちゃんのお世話が忙しいと外に出かけることは難しい場合もあります。
家でできることや赤ちゃんと一緒にできることを探してみることもおすすめです。
ウォーキング
軽いウォーキングは、気分転換にもなり身体のリフレッシュにもつながります。
赤ちゃんを家族に預けて、数分外に出るだけでも気分転換になります。
まずは15分、自分だけの時間を作るために外に出かけてみましょう。
ヨガ
ヨガは心と身体の両方に働きかけることができ、リラックス効果が期待できます。
オンラインヨガは自宅でできますし、数分の短時間でできるものもあるので、合間時間に行ってみましょう。
オンラインヨガでは、ただ動画を見るだけではなく、他の人とのコミュニケーションを取る時間にもなります。コミュニケーションを取ることが少ない産後の期間におすすめする楽しみの一つです。
親子ヨガは、ママと赤ちゃんが一緒にできるヨガ。内容によっては産後1ヶ月くらいから行えるものもあります。ぜひ、産後の新たな趣味に試してみてはいかがでしょうか。
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ストレッチ
日々のストレッチは、育児による体の凝りをほぐし、ストレス解消に役立ちます。
産後の慣れない育児で、肩や首が凝っていたり、足が浮腫んでいたりする方がとても多くいらっしゃいます。ストレッチは出産直後から行えるので、産後の体をほぐしていくためにも積極的に取り入れていただきたい生活習慣です。
リラックスタイムを作る
音楽を聴く
好きな音楽を聴くことで、心が落ち着き、リラックスできます。
自分の好きな音楽の他には自然音やリラックスBGMなどもおすすめです。
音楽配信サイトではさまざまな音源が配信されています。
- 森林浴をしているような森の中の音や水が流れる音
- 焚き火の音とオルゴールの音が組み合わさったもの
- ピアノなどのリラックスBGM
さまざまなタイプの音楽があるので、自分の好きなものを探してみることもおすすめです。
「自然音」「リラックス音楽」などで検索してみてください。
私のおすすめは、「ジブリ×オルゴール」「ジブリ×焚き火の音」です。
アロマセラピー
アロマセラピーで使われる香りは、心身の緊張を和らげる効果があります。
リラックスをする香りはたくさんあるのですが、一番は「自分の好きな香り」を選ぶこと。
さまざまな香りを試して自分にとっての好きな香りを探してみることがおすすめです。
ストレス解消におすすめのアロマセラピーは以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
読書
好きな本を読む時間を作ることで、心の余裕が生まれます。
読書は時間がなくて難しいという方もいらっしゃるかもしれません。忙しくて時間のない方におすすめなのが、「オーディオブック」です。家事をしている最中などに聴きながら行うことができるので気分転換にもなります。
私も利用していますが、時間を節約して有効活用するのにおすすめですので、ぜひ試してみてください。
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頼れるものは全てを活用する
家族や友人から支援を得る
育児は一人で行うものではありません。周囲の人々からの支援を積極的に求めましょう。
家族・友人・近所の方、自分が信頼できる人に頼ることが大切です。
家事を手伝ってもらうなどの直接的なお願いから、話を聞いてもらう・気を遣ってもらうなどのちょっとした援助まであります。
周りの人と日頃からコミュニケーションを取っておくことで、いざという時にお互いに助け合うことができます。
家事でいかに手を抜けるか
「夫が全ての家事をしてくれます」という方は問題ないかもしれませんが、自分で家事をしないといけないという方もいらっしゃると思います。
慣れない育児をしながら今まで通り家事をすることは無理です。家事は完璧にやる必要はありませんので、いかに手を抜けるかを考えて準備をしておきましょう。
- 日用品は妊娠中に多めにストックしておく
- 入院中や出産直後にやらないといけないこと(上の子のことなど)は事前に家族へ伝えておく
- 産後は家事をできるだけしなくても良い環境を整える(宅配を活用するなど)
妊娠中からの準備も大切
入院中…
出産で痛がっているときに「上の子の習い事の連絡をしないと」、産後で授乳が忙しいのに「夫から家の中のことで色々電話が来る」なんてこともあります。
事前に、出産で入院する間のことは全て任せられるようにしておきましょう。
自分の時間を作る
短い時間でも自分だけの時間を確保することが大切です。
赤ちゃんと常に一緒にいる生活を始めると、最初は寝ていても気になってゆっくり休めなかったり、少しの音で飛び起きたりと24時間気が抜けません。
ぜひ週に1回でも赤ちゃんを預けて、数時間自分だけの時間を作れると良いですね。
時間の使い方は人それぞれ。マッサージを受けたり・お買い物を楽しんだり・カフェでゆっくりお茶をしたり…自分の心が求めることを行ってみましょう。
地域の支援を確認しておく
地域の育児支援センターや親子カフェなど、地域のリソースを活用することも一つの方法です。
産後に必要なサポートはその時になってみないとわからないことも多く、産後の体調、赤ちゃんの個性、周りの環境などその人によって必要なサポートは異なります。
- 自分の住んでいる市区町村で受けられるサポート
- 周りの人がどのくらい手伝ってくれるか
- 自分が利用できそうなコミュニティ
妊娠中の方は事前に情報を集めておいて、いざとなった時に使えるようにしておきましょう。
専門家に相談する
産後のストレスが自己管理できないほど深刻な場合は、専門家に相談することが重要です。
ここまで記事を読んで・試してみようと思えるものがない場合、試したけど改善できない場合は、一度専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
産後のストレスは、多くの方が経験しています。適切な対処法を知り、周囲のサポートを得ることは乗り越えるために大切です。
この記事が、産後のストレスに悩むすべてのママたちにとって、一つの参考になれば幸いです。何より大切なのは、自分自身と赤ちゃんの健康を最優先に考え、無理をせず、必要な場合は専門家に相談する勇気を持つことです。
自分に合ったストレス解消法を見つけて、出産後の大変な時期も楽しめる環境を見つけていきましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。